盛大な葬儀ではなく家族葬が選択される理由

近年、従来のような数多くの会葬者が参列する盛大な葬儀よりも、家族や親戚のみで執り行われる家族葬が選択されやすくなっています。多くの葬祭業者も家族葬プランを充実させ、家族葬専用ホールが設けられている斎場なども増えており、今や、家族葬のほうが主流といった雰囲気も帯びています。従来型の盛大な式典よりも家族葬が選択されやすくなっている理由はいくつかありますが、一つには自宅で葬儀を行う人が減ったことがあります。病院で故人が亡くなると、かつては自宅へ搬送され、隣近所の助けを受けてお通夜から告別式まで自宅で行うことが主流でした。マンション世帯が増えたことで、エレベーターで遺体を搬入しにくいことや、日ごろ隣近所との親しい付き合いが無いなどの理由で、故人は帰宅することなく、病院から斎場へ搬送されるケースが増えました。隣近所にわざわざ知らせることなく、業者の手配によって斎場で葬儀を行えることも、家族葬を選択しやすくしていると言えます。

費用面での負担軽減も大きな魅力

斎場の大きなホールを使用し、たくさんの会葬者を迎えて行われる従来型の盛大な葬儀は、やはりトータルで200万円近くかかると言われ、遺族にとってはかなりの負担になります。お通夜の規模も当然大きくなり、通夜振る舞いの料理に気を配ったり、香典返しなどの手配も、業者に任せたとしても気苦労が多くなってしまいます。家族葬の場合、お通夜を行うプランを選んだとしても、家族と親戚のみの、気遣いの要らない同志で行えるため、純粋に故人を偲ぶ一夜を過ごせます。かつては故人の勤務先からの会葬者が参列することが当然のような風潮でしたが、高齢化社会となって、退職後何十年も経ってからの逝去となり、会社関係の会葬者が訪れるお通夜や告別式のほうが珍しくなりました。規模を気にしなくて良いぶん、斎場の小さなホールで、隣近所への気遣いもなく行える家族葬が選ばれやすくなるのは、自然な流れと言えます。

費用が抑えられ時間短縮にもなる直葬

家族葬プランの中でも、費用の面で最も選ばれやすくなっているのが、火葬のみを行う直葬です。お通夜を行わず、告別式当日のみの一日葬も人気がありますが、時短という点では火葬式のほうがより短時間で済み、忙しい現代人のニーズにもマッチしています。式典がないぶん慌ただしいという声もありますが、他人への気遣いなく家族のみで故人を送る、短くも濃密な時間を過ごせるとも言えます。直葬最大の魅力は、やはり費用の安さで、火葬場併設の公営斎場を利用することで、平均的に直葬にかかる費用と言われる25万円を下回る額で行うこともできます。家族の負担を考えて、自ら直葬を選びエンディングノートに記載する人も出るほどで、コンパクトな葬送スタイルの台頭は、個別のお墓を持たない自然葬や永代供養墓のブームとも深い関りを持っています。